シャーロック・ホームズ

電子版が購入できるRe-ClaM Vol.6:シャーロック・ホームズのライヴァルたちの帰還

2021年6月10日

鍵

Uwe BaumannによるPixabayからの画像

Re-ClaMは、海外クラシックミステリをもっと身近に、かつもっとディープに楽しむための評論同人誌ですが、その第6号は「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」を特集しています。
好評につき物理版(紙版)は売り切れのようですが、PDF(電子版)は購入できます。
この記事では、Re-ClaM Vol. 6を簡単にご紹介し、その電子版の購入方法をご説明します。

Re-ClaM第6号の特集:シャーロック・ホームズのライヴァルたちの帰還

Re-ClaMRediscovery of Classic Mystery

「クラシックミステリの再発見」と名付けられたRe-ClaMは、三門優祐さんが年2回発行されている評論同人誌。
同人誌と言っても、その内容は商業誌に引けを取らない、いや、海外クラシックミステリが好きな方にとってはマストバイな評論誌です。

そんなRe-ClaMの第6号の特集は「シャーロック・ホームズのライヴァルたちの帰還」ということで、発行前から楽しみにしていました。
その内容を少し覗いてみると……

[特別寄稿]
創元推理文庫《シャーロック・ホームズのライヴァルたち》
の成り立ち
(戸川安宣)

[特別寄稿]
〈私の愛したライヴァルたち〉
「思考機械を嗜好す」(北原尚彦)
「「ライヴァル」の条件を満たす者たち」(日暮雅通)
「シャーロック・ホームズのライヴァル……かな?」(北村 薫)

[特別寄稿]
「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」を読み、訳す理由
(平山雄一)

[特別寄稿]
ホームズの忘れられたライヴァルたち〜スクリーン編〜
(三橋 曉)

[論考]
「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」、その特徴と意義
(三門優祐)

[短編競訳]
ベイジル・トムスン「ハノーヴァー・コートの殺人」(倉田 徹訳)
ジェレット・パージェス「なぜバーバンク夫人は逃げたのか」(平山雄一訳)
メルヴィル・D・ポースト「岸辺の家」(北見 弦訳)

「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」というカテゴリーは、あまりに多くの作品に当てはまり、そこが面白いところでもありますが、その中で、特に重要な探偵は以下の四人です。
すなわち、マーチン・ヒューイット隅の老人思考機械ジョン・ソーンダイク博士
当サイトでも記事にしたように、近年になって、隅の老人、思考機械、ソーンダイク博士については短編全集が刊行されています。
さらに、マーチン・ヒューイットについても2021年6月に短編全集が刊行される予定です。


結び目
定員No. 41:最も有名な「シャーロック・ホームズのライヴァル」のひとり;『隅の老人』

前回ご紹介したアンナ・キャサリン・グリーン。 それに少し遅れて、海を渡ったイギリスではハンガリー出身の女性が奇妙な老人を主人公にした連作を発表し、評判を呼んでいました。 それがバロネス・オルツィの隅の ...

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刑務所の独房
定員No. 38:世界に先駆けた【完全版】全集で全貌が明らかに;『思考機械』

いわゆる「シャーロック・ホームズのライヴァル(ライバル)たち」の代表選手として、隅の老人を以前ご紹介しました。 その『隅の老人(完全版)』(作品社)の翻訳・解説をなされた平山雄一さんが、2019年に同 ...

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顕微鏡
定員No. 42:科学者探偵の元祖『ジョン・ソーンダイクの事件記録』

2020年、画期的な短編全集の刊行が開始されました。『ソーンダイク博士短篇全集』全3巻(国書刊行会)。私がこの年に最も読みたかった作品の一つです。第Ⅰ巻には2つの短編集が収録されていますが、いずれもク ...

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2021年は、「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」を特集するのに最適なタイミングであるわけですが、もちろんホームズのライヴァルたちはこの四人に限りません
どのようなライヴァルたちがいるのか?
それについては、このRe-ClaM第6号をお楽しみください。

メモ

  • 以前、こちらの記事で少しだけ触れた「フレイザー夫人の消失」という短編にも登場する、アメリカ人探偵ペッパー氏
  • 東洋人占い師に化けたアメリカ人青年で、助手の奥さんと共に捜査をして合理的に謎を解明するアストロ
  • スコットランドヤードの捜査官で、ロンドン中心部のセント・ジェームズ・スクエアに住むヘンリー・マーキス卿

彼らの活躍する短編作品も読めます。

Re-ClaMの電子版(PDF)はBOOTHで購入できる

Re-ClaM第6号は、2021年5月に物理版(紙版)で出版され、第三十二回文学フリマ東京にて直販されました。
また、書肆盛林堂でも販売されましたが、現在は品切れのようです。

しかし、ご安心ください。
2021年6月現在、電子版(PDF)は購入できます

BOOTHでの購入方法

以前にも記しましたが、イラストコミュニケーションサービスのpixiv(ピクシブ)のIDが必要です。
BOOTH(ブース)はpixivと連携しているので、そのIDで買い物ができます。
BOOTHは、クレジットカード決済やPayPal、楽天ペイ、銀行決済などの決済手段があります。

なお、BOOTHの「Re-ClaM編集部」では、第6号だけでなく第1〜5号のPDFも購入できます
著作権処理の関係などから、一部の寄稿については電子版に収録されていないこともあります(BOOTHに【物理版との相違点】が記されています)が、それ以外は紙版と同じです。
私は、紙版を購入している場合でも、電子版はすべて購入しているのですが、それはPDFだから検索が容易なことが挙げられます。

ゆーじあむ
ゆーじあむ
例えば、Re-ClaM第6号で「思考機械」の記述がある部分を検索したり。

また、電子版は500円と、紙版の半額以下の販売価格(ワンコイン)なので、両方購入のハードルが低いことも挙げられます。
特集ばかりでなく、私のような「クイーンの定員」好きな者にとっては大変うれしい、林克郎さんの「Queen's Quorum Quest」や、覆面レビュアーM.K.氏による「A Letter From M.K.」、小林晋さんの「海外ミステリ最新事情」など、今や「伝説的」な未訳ミステリ中心のレビュー同人誌「ROM」(Revisit Old Mysteries)などから引き継がれた連載もあり、その他の寄稿も大変魅力的です。

(参考)Re-ClaM第1号〜第5号の特集

ちなみに、第1号〜第5号の特集は以下の通り。

メモ

  1. 知られざるマーティン・エドワーズ
  2. 十五年目の論創海外ミステリ
  3. クラシックミステリ(再)入門
  4. F・W・クロフツの"Humdrum"な冒険
  5. ロス・マクドナルドの新たな巡礼

なお、第5号については2021年6月現在、書肆盛林堂にて紙版も購入できるようです。
紙版には、2021年6月に刊行された『エラリー・クイーン 創作の秘密』(国書刊行会)の編著者であるジョセフ・グッドリッチが、Ellery Queen's Mystery Magazineに寄稿したエッセイ「オン・ザ・ロード・ウィズ・マンフレッド・B・リー(第1回)「チケットはタダでも捌けなかった」」(三門優祐 訳)が収録されている(電子版未収録)ので、ご興味のある方はお早めに。

Re-ClaMについてはnoteもあり、そこでは別冊Re-ClaM(クラシックミステリ作品の翻訳を収載)の刊行告知や、未訳短編の翻訳が読めたりするので、ここも要チェックです。

終わりに

「クラシックミステリを楽しむ」評論同人誌Re-ClaM第6号の特集は、「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」
2021年6月現在、電子版(PDF)は500円で購入できるので、ご興味のある方は手に取ってみるのはいかがでしょうか。

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