シャーロック・ホームズ 特別投稿

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』にシャーロック・ホームズの名言あり

アイスコーヒー

qwalqによるPixabayからの画像

各種ミステリーランキングで三冠を達成し、2020年本屋大賞にもノミネートされるなど、今話題の『medium 霊媒探偵城塚翡翠(メディウム れいばいたんていじょうづかひすい)
この作品にシャーロック・ホームズの名言が引用されていると聞いて、私は本作を読んでみました。

私が『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を読んだきっかけ

「先生——、わたしはたぶん、普通の死を迎えることができないのだと思います」

この発言は本作のプロローグに出てくるのですが、「先生」は推理作家の香月史郎(こうげつしろう)、「わたし」は霊媒の女性、城塚翡翠(じょうづかひすい)です。
本作を紹介するメディアの中で、このフレーズが気になった私は、この本を読んでみたくなりましたが。。。

ゆーじあむ
「霊媒」ねぇ。。。

超自然的なことは嫌いではないのですが、どうも読むことを躊躇していました。
もっとも、上でご紹介した講談社BOOK倶楽部のあらすじを読むと、翡翠さんの霊視には証拠能力がないので、その霊視に論理の力を組み合わせて、事件に立ち向かっていくようです。

…とはいえ、どうもすっきりしないので、読書好きの妹にこの本を読んだのか聞いてみたところ、

シャーロック・ホームズの名言が出てきたよ。
ラルくん
ゆーじあむ
なんだって??

ということで、読んでみることにしました。

以下、ネタバレはありませんが、もしも私のようにこの本を読むことを躊躇されている方がいらっしゃるようでしたら、講談社BOOK倶楽部のあらすじだけ読んで、このブログ記事の先は読まずに、(そして、いろいろ事前に調べずに、)本作の最終章まで読まれることをお薦めします。
確かに、最終章に至るまでは萌えなシーンもあったりして、それはそれで嫌いではないのですが(むしろ好きかも)、時には、

なんだかなぁ(汗)

と少し引いてしまうところもありました。
しかしながら、最後まで読んだら、それも含めて面白く感じられることでしょう。
そして、本格ミステリー好きな方にこそお薦めします。

medium 霊媒探偵城塚翡翠

medium 霊媒探偵城塚翡翠

相沢沙呼
1,540円(03/18 18:20時点)
発売日: 2019/09/12
Amazonの情報を掲載しています

目次と"medium"の定義

Contents(目次)を確認してみると、

Contents

プロローグ

第一話 泣き女の殺人
 インタールードⅠ

第二話 水鏡荘(みかがみそう)の殺人
 インタールードⅡ

第三話 女子高生連続絞殺事件
 インタールードⅢ

最終話 VSエリミネーター

エピローグ

と、四話構成であることが分かります。
(インタールードとは、幕間(まくあい)とか間奏曲といった意味で、そこで、巷を騒がしている姿なき連続殺人鬼について少し語られます。)

Contentsのあとに、mediumの定義が記されています。

me・di・um[míːdiəm]

(≪複数形≫ me・di・ums, me・di・a)
中間, 中庸; 媒介(物), 媒質, 媒体;
生活環境, 生活条件; 手段, 方法;
霊媒

「霊媒」という意味がでてきましたね!
ミディアムとカタカナ書きすることも多いこの単語ですが、本作では「メディウム」です。

シャーロック・ホームズの名言を引用

名作「踊る人形」からの引用

さて、本題です。
本作で、シャーロック・ホームズの名言が引用されるのは最終話。
アーサー・コナン・ドイルの短編「踊る人形」にてホームズが口にする有名な一節の引用、と書かれており、次のように引用されています。

「中間の推理を悉(ことごと)く消去し、ただ始点と結論だけを示すとすると、安っぽくはあるが、ともかく相手を驚嘆させる効果は充分にある……」

ここで「中間」というキーワードが出てきましたね。
上の引用は、最初に英語で発言されてから、日本語で同じことが繰り返される、とあったのですが、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の中には英語での引用はないので、英文も調べてみましょう。

If, after doing so, one simply knocks out all the central inferences and presents one's audience with the starting-point and the conclusion, one may produce a startling, though possibly a meretricious, effect.

From "The Adventure of the Dancing Men" (Sir Arthur Conan Doyle)

最初の"after doing so"の部分はその前の文章を受けており、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』においては割愛されています。
"the central inferences"「中間の推理」です。

もし、私が優秀な探偵であり、優秀な読者であったのなら、この引用を聞いた時点で『medium 霊媒探偵城塚翡翠』のプロットを推察できたのですが…(汗)

それはともかく。
「踊る人形」の翻訳をいくつか確認したのですが、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の引用と全く同じ文章は確認できませんでした。
これは、私の確認していない翻訳文であるのか、もしくは著者の相沢さん自身が翻訳されたものなのでしょう。
「踊る人形」の翻訳を読むには、紙の本でも電子書籍でも読める以下の文庫のいずれかがお手頃でしょう。
ホームズ物語の名作です。

シャーロック・ホームズの生還 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)

シャーロック・ホームズの生還 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)

アーサー・コナン・ドイル
990円(03/18 18:20時点)
発売日: 2006/10/12
Amazonの情報を掲載しています
シャーロック・ホームズの復活 【新訳版】 シャーロック・ホームズ・シリーズ (創元推理文庫)

シャーロック・ホームズの復活 【新訳版】 シャーロック・ホームズ・シリーズ (創元推理文庫)

アーサー・コナン・ドイル
587円(03/18 18:20時点)
発売日: 2012/06/29
Amazonの情報を掲載しています
シャーロック・ホームズの帰還 (角川文庫)

シャーロック・ホームズの帰還 (角川文庫)

コナン・ドイル
1,012円(03/18 18:20時点)
発売日: 2016/07/23
Amazonの情報を掲載しています
シャーロック・ホームズの帰還 (河出文庫)

シャーロック・ホームズの帰還 (河出文庫)

アーサー・コナン ドイル
1,320円(03/18 18:20時点)
発売日: 2014/07/08
Amazonの情報を掲載しています
シャーロック・ホームズの帰還 (新潮文庫)

シャーロック・ホームズの帰還 (新潮文庫)

コナン ドイル
737円(03/18 18:20時点)
発売日: 1953/04/20
Amazonの情報を掲載しています

ホームズ物語からの他の引用

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』には、こんな引用もあります。

「(前略)。見ることと観察することはまったく別物ですよ?」

これも、シャーロック・ホームズの名言からの引用です。
本作ではホームズ物語のどの作品から引用したかを明らかにしていませんが、おそらく「ボヘミアの醜聞」でしょう。
この作品は、ホームズ物語の最初の短編集『シャーロック・ホームズの冒険』の巻頭を飾っています。

エラリー・クイーンばりの○○○○が炸裂

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の最終話では、チェスタトンが「一枚の枯れ葉を隠したいと願う者は、(以下略)」と書いている、とも記されています。
これは、本作に出てきた「あるトリック」について説明しているのですが、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』全体像も表しているのかもしれません。
このチェスタトンの記述は、ブラウン神父シリーズのこちらの短編集に収められた「ある作品」の中にあります。(チェスタトンの作品のネタバレにつながりそうなので、作品名は割愛。)

そして。
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の最終話では、「エラリー・クイーン」という言葉も現れます。

このブログ記事では『medium 霊媒探偵城塚翡翠』のネタバレはありませんが、勘の良い人は以下の記述でそのプロットに気づくかもしれないので、未読の方はご注意ください。

本作の魅力の一つは、そのエラリー・クイーンばりのロジックにあります。
<読者への挑戦>という章題こそありませんが、

推理小説なら、ここで読者への挑戦状が挟まれるタイミング

という記述もあります。
その後に記される解決篇のロジック、その美しさに驚嘆しました。

ところで、解決篇を読む際に電子書籍は便利です。

ゆーじあむ
あれ? そんな記述あったっけ?

という時にでも、検索機能を使えば簡単に分かります。
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、ちゃんとフェアプレイしていました。

 

終わりに

このブログ記事では、今話題の本『medium 霊媒探偵城塚翡翠』シャーロック・ホームズの名言が記されていることを中心に、ご紹介しました。

Pick Up

アイスコーヒー 1

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢 沙呼)|講談社BOOK倶楽部 各種ミステリーランキングで三冠を達成し、2020年本屋大賞にもノミネートされるなど、今話題の『medium 霊媒探偵城塚翡翠(メ ...

ワンセグテレビ 2

WordPress向けのAmazonアソシエイト・プログラムのオフィシャルプラグイン「Amazon公式リンク作成ツール(Amazon Associates Link Builder)」の提供が終了する ...

刑務所の独房 3

いわゆる「シャーロック・ホームズのライヴァル(ライバル)たち」の代表選手として、隅の老人を以前ご紹介しました。 その『隅の老人(完全版)』(作品社)の翻訳・解説をなされた平山雄一さんが、2019年に同 ...

辞典 4

2019年12月に、ちょっと変わった辞典が出版されました。 その名も『シャーロック・ホームズ語辞典』(誠文堂新光社)。 シャーロック・ホームズにまつわる言葉を気軽に調べられ、最初から最後まで通して読ん ...

アルファベットのグミのフリー画像(写真) 5

以前、このブログで記したことがありますが、私が大学時代にフランス語を第二外国語として専攻したのは、アルセーヌ・ルパンの作品をフランス語で読みたかったからでした。 自分の趣味は、外国語を学ぶ強力な動機と ...

-シャーロック・ホームズ, 特別投稿

Copyright© レストカフェ-ゆーじあむ , 2020 All Rights Reserved.