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シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパンで外国語の学習

投稿日:2019年7月18日 更新日:

アルファベットのグミのフリー画像(写真)

以前、このブログで記したことがありますが、私が大学時代にフランス語を第二外国語として専攻したのは、アルセーヌ・ルパンの作品をフランス語で読みたかったからでした。
自分の趣味は、外国語を学ぶ強力な動機となりえます。
この記事では、私の大好きなシャーロック・ホームズを英語で味わう本が最近出版されたので、ホームズの短編で英語を学ぶ方法、ルパンの短編でフランス語を学ぶ方法を記します。

オリジナルの英語で楽しむシャーロック・ホームズ

英語で味わうシャーロック・ホームズ名作短編集

2019年7月に『英語で味わう シャーロック・ホームズ名作短編集』(ジャパンタイムズ)が出版されました。

この本は、2011年に出版された『シャーロック・ホームズの名作短編で英語を学ぶ』(国際語学社)を再編集したものですが、「唇のねじれた男」に代わって「赤毛連盟」が新しく収録。
つまり、「赤毛連盟」「まだらの紐」「ボヘミアの醜聞」の3つの短編のオリジナルの英文が、日本語対訳、丁寧な注釈・解説つきで収められています。
(「原典には複数の版が存在するため、版によって記述の異なる箇所については、複数の版を突き合わせ、その都度、最適と思われる記述を選択して原文を再編集」したとのこと。)

作品を深く読み解くためのコラムも充実しています。「シャーロック・ホームズに学ぶ会話術」というコーナーもあります。
訳・解説を記された諸兄邦香さんは、証券会社に勤務後に著述・翻訳業に転身された方で、以下のようにシャーロック・ホームズ関連書もいくつか出版されています。
『シャーロック・ホームズ大人の楽しみ方』は私も10年ほど前に読みました。
随分前の話ですが、私の別ブログにコメントを頂いたこともありました。

『シャーロック・ホームズ大人の楽しみ方』(アーク出版)

『シャーロック・ホームズからの言葉』(研究社)

MP3音声ファイルを無料ダウンロード

英文の朗読音声は、MP3形式でダウンロードできます。
そのためにはオーディオブックサービス「audiobook.jp」への無料会員登録が必要です。
そして、この本に記載された方法で、PCまたはスマホアプリに無料音声のダウンロードを行います。
そうすれば、PCやスマホアプリで再生したり、各種音楽プレーヤーで再生したりすることができます。
ナレーションは英国出身のStuart Varnam-Atkin(ステュウット・ヴァーナム・アットキン)さん。比較的ゆっくり朗読されているので、聞き取りやすいと思います。音声収録時間は3つの短編の合計で約3時間46分。
この本の見開き1ページ(左右2ページ)で1トラックの音声となっているので、勉強しやすいと思います。

なお、余談ですが、先に挙げた諸兄邦香さんの『シャーロック・ホームズ大人の楽しみ方』はオーディオブックにもなっており(パンローリング)、「audiobook.jp」でも購入できます。


3つの短編は短編集『シャーロック・ホームズの冒険』から

この本は語学教材なので、諸兄さんも仰っているように、訳文は小説の妙味を損なわせないように配慮しつつも、直訳風の訳文に仕上げているとのこと。
原文と訳文を比較して、英文法や単語・成句などを確認しながら、ホームズの探偵談も楽しめそうです。

3つのホームズ物語は、いずれも短編集『シャーロック・ホームズの冒険』に収められています。
この短編集については、以前にもこのブログでご紹介しましたが、諸兄さん曰く、

また、数あるホームズの翻訳書と原文を比較するという味わい方もあります。(中略)翻訳書と原文を突き合わせてみると、訳文にも個性というものがあることを発見し、翻訳者の苦労が偲(しの)ばれることでしょう。

とあるように、この機会に複数の翻訳書を読んでみるのも一興です。

オリジナルのフランス語で楽しむアルセーヌ・ルパン

対訳 フランス語で読む「ルパンの告白」

昨年(2018年)7月に『対訳 フランス語で読む「ルパンの告白」』(白水社)が出版されました。

この本はアルセーヌ・ルパン物の第二短編集『ルパンの告白』より、最初の短編「陽光のたわむれ」「太陽のたわむれ」の冒頭部と、「赤い絹のストール」の全文が、フランス語の原文と日本語対訳、注釈・読解ポイントつきで収められています。
(原文はJacques Derouard編のルパン全集を使用し、参考のため、比較的入手の容易なリーヴル・ド・ポッシュ版の頁数も併記。)

ルパンや作者モーリス・ルブランに関するコラムも面白く読めるものばかりで、また、「ルパンを読むための文法——間接話法、自由間接話法、条件法過去第2形、遊離構文というコーナーもあります。
編著者の太田浩一さんはフランス文学翻訳家で、訳書の中にはミステリーに関するものもあります。『ルルージュ事件』は世界最初の長編ミステリ、『ミステリ文学』は日本未邦訳作家も含めてミステリの世界を幅広く論じた著作です。

ガボリオ『ルルージュ事件』(国書刊行会)

ヴァノンシニ『ミステリ文学』(白水社文庫クセジュ)

朗読CD付きの語学教材

この本にはMichaël FERRIER(ミカエル・フェリエ)さんの朗読によるCDがついています。音声収録時間は約1時間4分。
こちらも比較的聞き取りやすい朗読であり、ルパン作品の魅力を存分に堪能できます。
また、この本の見開き1ページ(左右2ページ)で1トラックの音声となっているので、勉強しやすいと思います。

短編随一の傑作「赤い絹のストール」

「陽光のたわむれ」の冒頭部というのは、作者である「わたし」がルパンに、何かとっておきの話を聞かせてほしいとせがむ様子が書かれた部分で、そこがこの本に収められています。
そして、「赤い絹のストール」は佳作揃いのルパン物の短編の中でも特に傑作と評されており、創元推理文庫の江戸川乱歩 編『世界推理短編傑作集2』にも「赤い絹の肩かけ」(井上勇 訳)というタイトルで収録されています。(創元推理文庫は「ルパン」表記ではなく「リュパン」表記。)
太田さんがコラムで児童向きとはいえ、今までに刊行された中で最も完成度の高い全集と仰っている、偕成社の『アルセーヌ=ルパン全集』では「赤い絹のスカーフ」(長島良三 訳)というタイトルで収められています。

電子書籍で「赤い絹のストール」の翻訳書を読む

また、電子書籍ではありますが、グーテンベルク21や角川書店の『ルパンの告白』でも、それぞれ「赤い絹のスカーフ」(野内良三 訳)、「赤い絹のストール」(大友徳明 訳)が読めます。
(ただし、角川書店版『ルパンの告白』では、「さまよう死神」(または「うろつく死神」)という作品が未収録です。)

 
 

さらに、私の人生に大きな影響を及ぼした集英社文庫の『世界の名探偵コレクション10』シリーズ。
第2巻はアルセーヌ・ルパンですが、これは『ルパンの告白』から「影の合図」「ルパンの結婚」を割愛して組まれたアンソロジーであり、「赤い絹のショール」(長島良三 訳)も読めます。
『世界の名探偵コレクション10』シリーズの紙版は絶版ですが、なぜかこの第2巻だけ電子書籍が販売されています。

 
 

「赤い絹のストール」の原文をこれらの翻訳とも比較してみるとともに、短編集『ルパンの告白』収録作についてはこの本のコラムでも簡単に紹介されていますが、「陽光のたわむれ」の続きなど、他の作品を読んでみるのも面白いでしょう。
なお、この作品は漫画化もされています。こちらの記事もご参照ください。

終わりに

この記事では、音声面においてもホームズ作品、ルパン作品を堪能できる語学教材をそれぞれご紹介しました。
英語、フランス語というオリジナルの言語で、自分の大好きな作品を目と耳で楽しむことができるのは語学学習の励みにもなります。
これからも楽しみながら、少しずつ勉強を進めたいです。

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