シャーロック・ホームズ 英語の学習

『「受験英語」でシャーロック』——「まだらの紐」を英語で読もう!

2020年8月1日

勉強机の上にあるノートや鉛筆のイラスト

2020年の春に、『「受験英語」でシャーロック』というタイトルの興味深い本が出版されました。
この記事では、その本をご紹介します。

取り上げられた作品は'The Adventure of the Speckled Band'

「高校で習う英語」でも読める小説

本書は、高校で習う英語(いわゆる「受験英語」)で培った英語力で、シャーロック・ホームズ物語は読め、また、シャーロック・ホームズで(いわゆる)「実用英語」を学べることを解説されたものです。
著者の林さんが解説された動画はこちらのnoteにあります。

また、林さんが著書の特長をご紹介されているページがこちらにございます。

本書で取り上げられた作品は'The Adventure of the Speckled Band'「まだらの紐」と訳されることの多い、ホームズ物語の中でも人気のある短編作品の一つです。
残念ながら紙幅の都合上、本書では完全に「全文」が掲載されているわけではありませんが(後述)、全体を15回に分けて、この作品を解説付きでゆっくりと読めるようになっています。(林さんは「鈍行列車」と例えられています。)
また、解説だけではなく、作品に登場する語句、文法、構文がどのように「今」でも「実用的に」使えるかということを示すために、「例文」も多く掲載されています。

解説と例文の一例

130年以上も前の作品だと英語が古いんじゃない?
ラルくん

と思われる方もいるでしょうし、確かに今ではあまり使われない単語や表現もあって、本書でもそれを解説していますが、本書でページを割いているのは圧倒的に多い「使える」英語表現

例えば、'The Adventure of the Speckled Band'の最初の方で次のような文章があるのですが、本書ではそれに丁寧な解説が加えられています。
なお、この英文の主語"I"はホームズの相棒ワトソンです。

I woke one morning to find Sherlock Holmes standing, fully dressed, by the side of my bed.

このto findは、本書の解説を要約すると【不定詞の<結果>を表す副詞的用法】であり(本書ではもっと丁寧に解説されています)、"I woke one morning and found Sherlock Holmes…"(ある朝私が目を覚ますと、Sherlock Holmesが…しているのに気づいた)と言い換えられます。
そして、その例文が3つ挙げられています。ここでは、その1つを引用しましょう。

<例文>
1. We went to the library to find it was closed.
「図書館に行ったら、閉まっていた」

また、dressedについても解説があり、それを使った例文が3つ示されています。

このように、本書では「受験英語」で学んだ内容を復習しながら、ゆっくりと確実にホームズ物語の原文を読み進め、その英語が日常でも使えるような構成になっています。
なお、「私が目を覚ますと、シャーロック・ホームズが身支度を整えた状態で枕元に立っていた」と訳されるこの英文は、巻末の「暗唱用英文30選」にも挙げられています。
アウトプット(話す、書く)の際に役に立ちそうな英文が'The Adventure of the Speckled Band'から選ばれているので、活用したいです。

'The Adventure of the Speckled Band'の全文が読みたくなったら

前述のように、本書では'The Adventure of the Speckled Band'の「全文」は掲載されていません。

…本書を読んで全文が気になるという方は、ぜひ原書を購入して(今はweb上でも無料で全文が掲載されています)全体を読んでいただきたい…

とありましたが、その一つの選択肢として、私の以前の記事でご紹介した『英語で味わう シャーロック・ホームズ名作短編集』を挙げておきます。
この本では、英文の朗読音声がMP3形式でダウンロードできるので、耳でも聴きながら原文を読めますよ。

『緋色の研究』の冒頭も掲載

本書の後半では、最初のホームズ物語である"A Study in Scarlet"『緋色の研究』の第1部、第1章から、ホームズとワトソンが出会う場面が紹介されており、同じように解説が加えられています。

retoldとoriginalを比較しながら読む

文学の英語は「難しい」ので、受験英語をやったからといってすぐに英語文学作品をスラスラ読めるかというと、なかなかそういうわけにはいかないようですが、本書では、<ワンポイント・アドバイス>として以下のように記されています。

ココがおすすめ

retoldとoriginalを比較しながら読む

「retold版」というのは、段階的多読図書として、易しい英語で書き直されたもので、「受験英語」「原書」の橋渡しを担ってくれているもの、とのこと。
retoldとoriginalを並行して読むことで、ストーリーが頭に入っているので、話を追うというよりも、英語の書き換え方(パラフレーズ)や表現を学べるようです。

本書では、'The Adventure of the Speckled Band'のretold版として以下の2冊が紹介されていました。前者より後者の方がやや難易度が高い英文になっているようで、それよりもoriginalの英文の方が難しくなっていきます。

本書では、retoldとoriginalの比較例も詳しく記されているので、今後の参考になります。

あとがき:『英文法解説』と『ジーニアス英和辞典』

当サイトでは、最新の時事英語を無料で学べる英語番組をいくつか紹介していますが、一方で、本書の著者である林さんが「あとがき」で記されているように、

言語のジーニアス(真髄)は文学にあり

という考えに共感します。
ホームズ物語(に限らず、他の英語の小説や詩・新聞・映画のシナリオ・歌詞、などなど)を原書で読むことで、学校で習った英語の確認・強化ができ、そこに出てくる語彙・構文は、会話や作文の実践に使える、ということを意識して、今後も英語の学習に励みたいと思います。

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本書の巻末に参考図書がいくつか挙げられていましたが、『英文法解説』は長年にわたる林さんの「英語学習の友」とのこと。
また、本書の<例文>の多くは『ジーニアス英和辞典』や、その他の英英辞典から引用されたようですが、特に『ジーニアス英和辞典』は「語法」や「コロケーション」の解説が充実しているとのことです。

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