シャーロック・ホームズ ミステリー・推理

コロナ禍の今をミステリーで解き明かす『伝染(うつ)る恐怖 感染ミステリー傑作選』

2021年3月16日

ウイルス

PIRO4DによるPixabayからの画像

2019年の終わり頃に、その発生が初めて確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
致死率も高いその感染症はパンデミック(世界的大流行)に至り、2021年になっても新たな変異株「オミクロン株」が検出されたりして、終息する兆しは見られず、私たちの生活に多大な影響を及ぼしています。

人類の歴史は感染症との闘いの歴史だと、よく言われます。
古来より、人類は何度となく感染症の脅威に直面してきました。
ミステリーの世界でも、始祖であるエドガー・アラン・ポオの時代から、感染症は常に馴染み深いものとして、身近に存在しています。
この記事では、古今東西の「感染症」にまつわる傑作短編アンソロジーが最近出版されたので、これらの短編で描かれた感染症にそれぞれ注目しながら、その本をご紹介します。

「理知の文学」であるミステリーは、疾病をいかに描いてきたのか?

この記事では、基本的に作品のネタバレはしていないつもりですが、そこで描かれる感染症を取り上げる以上、作品の内容にやや踏み込んでいる可能性があります。 ご容赦ください。

伝染る恐怖 感染ミステリー傑作選 (宝島社文庫)

伝染る恐怖 感染ミステリー傑作選 (宝島社文庫)

エドガー・アラン・ポオ, アーサー・コナン・ドイル, フリーマン, マーキー, 西村 京太郎, 皆川 博子, 梓崎 優, 水生 大海
990円(11/21 15:24時点)
Amazonの情報を掲載しています

ミステリ評論家である千街晶之さんが編者の、このアンソロジーには古今東西の短編ミステリーが8作収められています。
この本のオビには、『チーム・バチスタの栄光』などでも著名な作家・医学博士の海堂尊さんの、以下のようなコメントが記されています。

(前略)人類を襲い続ける万余の感染症の謎を、作家はミステリーで解き明かし、癒してきた。それは未来永劫続く人類の営みなのだ。

ここでは、それらの作品のあらすじを引用し、そこで描かれた感染症を紹介します。
感染症については、主に国立感染症研究所のホームページを参照しました。

エドガー・アラン・ポオ「赤死病の仮面」

国中に悪疫が蔓延(まんえん)するなか催された壮大な仮面舞踏会に、突如現れた仮面の男の正体とは?

描かれた感染症

「赤死病」鋭い苦痛がおこり、とつぜん目まいがして、やがて毛孔(けあな)からおびただしい血がにじみ出て、ついに息がたえる。

原題:The Masque of the Red Death
底本は創元推理文庫の『ポオ小説全集3』(松村達雄 訳)。
真紅の、ぞっとするような血」が象徴する「赤死病」は架空の病気ではありますが、千街さんの解説によれば、本作は1832年のフランスでのコレラの流行を背景に、その構想は『デカメロン』(ジョヴァンニ・ボッカッチョが執筆した、14世紀のペスト大流行を逃れて郊外に集ったフィレンツェの富裕層10人が語り合うという設定の物語集)を踏まえたそうです。

ペスト

  • ペスト菌の感染によって発生する全身性の侵襲性感染症。
  • げっ歯類(ネズミ)を保菌宿主とし、節足動物(主にノミ)によって伝播される。ペスト菌感染動物を感染源とする直接感染もある。
  • 肺ペスト患者から排出された気道分泌液により、ヒトーヒト間で飛沫感染する場合がある。
  • 抗生物質の発見前には全世界的な大流行が幾度か記録されており、特にヨーロッパでは「黒死病」として古くから恐れられていた。
  • 抗菌治療と全身管理が治療の中心。予防としては、ペスト常在地に渡航する旅行者は、ネズミやノミとの接触を避ける。また、ペスト菌を含んだ患者血液・体液の曝露があった場合、発症を予防するために抗菌薬の内服が推奨される。
  • 2019年時点、国内で摂取可能なワクチンはない。

コレラ

  • コレラ菌で汚染された水や食物を摂取することによって感染する、経口感染症。
  • 19世紀初頭から諸国に蔓延し、日本では幕末の安政年間に流行したコレラ犠牲者の中には、浮世絵師の歌川広重らの著名人もいた。
  • 7回の世界的流行を起こしており、現在も途上国を中心に続いている。
  • 治療は大量に喪失した水分と電解質の補給が中心。予防としては、流行地で生水、生食品を喫食しないことが肝要。
  • 経口ワクチンの開発が試みられているが、現在のところ実用化されていない。

ポオの作品に戻りますと、本作はホラーの色彩が濃い作品ですが、コロナ禍の現代の姿にも通じるものがあるようで、本アンソロジーが出版された後にも、

疾病短編小説集:K・A・ポーター、R・キプリング他、石塚久郎 監訳(平凡社)

赤い死の舞踏会 付・覚書(マルジナリア):エドガー・アラン・ポー、吉田健一 訳(中公文庫)

などのアンソロジーや短編集に収められているようです。
ポオについては、当サイトのこちらの記事もご参照ください。

アーサー・コナン・ドイル「瀕死の探偵」

感染症に侵されたという錯乱状態のホームズを前に、駆けつけた友人のワトスンは——。

描かれた感染症

「スマトラ伝来の苦力(クーリー)病」やられたら最後、確実に死ぬということだ。おまけに、恐ろしく伝染力が強い。

原題:The Adventure of the Dying Detective
底本は創元推理文庫の『シャーロック・ホームズ最後の挨拶』(深町眞理子 訳)。
苦力(クーリー)とは、19世紀から20世紀初頭にかけての、インド人あるいは中国人を中心とする出稼ぎの労働者のことで、主に大英帝国の植民地で低賃金で過酷な労働を強いられました。
その中国やインドネシアの労働者により伝えられた病気を、ホームズは「苦力(クーリー)病」と呼んでいるわけですが、この作品ではホームズが感染する以前にもこの病気で死んだ方がいて、実はその病気は「ある犯人」によってもたらされたものだったのです!

本作では詳しく描かれていない「前日譚」は、ジェレミー・ブレット主演の「シャーロック・ホームズの冒険」で映像化されています。

ベアリング-グールドやオックスフォード版、そしてレスリー・クリンガーの注釈付きシャーロック・ホームズ全集によれば、その犯人の使った武器が何であったかについては、シャーロッキアンの中でも議論が分かれますが、ある研究者はペスト菌であったと主張している一方、ある研究者は神経毒素(キング・コブラから創られた蛇毒)であったと述べています。
この作品では、ワトスンが知らない病気として「タパヌリ熱」や「台湾の黒腐病」が挙げられますが、犯人はこれらの病原菌を仕組んだのでは、と推察される方もいます。これらの病気は、今日「ツツガムシ病」あるいは「やぶチフス」として知られる病気であろう、としています。
なお、これらの仮説を否定する研究者もいることも付け加えておきましょう。

ツツガムシ病

  • ダニの一種ツツガムシによって菌が媒介されるリケッチア症。
  • 起因菌はオリエンティア・ツツガムシ。
  • 発熱、刺し口、発疹は主要3徴候とよばれる。
  • 日本全国でみると、年間に春〜初夏、および秋〜初冬の2つの発生ピークが見られる。また、広くアジア、東南アジアにも存在する。
  • 治療には、早期に本症を疑い、適切な抗菌薬を投与することが極めて重要。予防には、ダニの吸着を防ぐことが最も重要。
  • 本症に予防に利用可能なワクチンはない。

本作を子供の時に読んだとき、私は、

ゆーじあむ
ゆーじあむ
犯人はオバカさんなのでは?

と思いました。
以前は、どちらかと言えば(そのリアリティのなさから)不人気作だったような記憶があるのですが、今ではベストではないにしろ、比較的人気が高い作品のようです。(私も比較的好きな作品だったりします。)
ハドスン夫人の登場シーンが多かったり、ホームズとワトスンの友情が垣間見られるのが一因でしょうか。
ホームズ物語については、当サイトのこちらの記事もご参照ください。

フリーマン「悪疫の伝播者」

老猫院の寄付箱に入っていた不思議な品物。名探偵ソーンダイクが科学捜査で謎に迫る。

描かれた感染症

ペスト、チフスガラス管の中には鼠の蚤と人のしらみがいて鼠の蚤はペストを、しらみはチフスを伝播するのだ。

原題:A Sower of Pestilence
底本は東都書房、1963年刊の『世界推理小説大系第14巻 ウォーレス・フリーマン』(佐藤祥三 訳)。
不思議な品物」は「女持の財布が三つと、モロッコ皮の手紙入れが一つと、それからアルミニューム製の小さい箱が一つ」でした。
そして、アルミニューム製の箱の中に、ノミとシラミが入ったガラス管がたくさん入っていたのです!

ペストについては、エドガー・アラン・ポオの項をご参照ください。

発しんチフス

  • シラミによって媒介されるリケッチア症。
  • 我が国では、「チフス」の用語は腸チフス・パラチフスを意味することが多いが、英語の"typhus"は発しんチフス、その他の節足動物媒介性リケッチア症を意味する。
  • 病原体の発しんチフスリケッチアは、細胞内でのみ増殖する細菌の一種。
  • 第一次大戦中にはヨーロッパで数百万の死者を出している。
  • テトラサイクリン系抗菌薬による治療が主流。予防のためには、基本的に衣類を清潔にし、シラミの発生を防ぐことが重要である。

一方、腸チフス・パラチフスはそれぞれチフス菌、パラチフスA菌による全身性感染症であり、ヒトの糞便で汚染された食物や水が疾患を媒介するものです。
本作の「チフス」は、シラミにより伝播されるとソーンダイク博士が言っているので、発しんチフスを指しているのでしょう。
悪疫の伝播者」が何を企んでいたのかは、本作をお楽しみください。

なお、『ソーンダイク博士短篇全集』が国書刊行会より全3巻、新訳で順次刊行中であることは以下の記事にも記しましたが、本作も新訳で読める予定です。
4月刊行予定の第3巻に、「疾病をまき散らす者」という題名で収録されるとのこと。
訳者の渕上さんによれば、本作の佐藤さんの翻訳では本文にごっそり脱落があるそうなので、新訳が楽しみです。

マーキー「空室」

万博で沸くパリの旅館に宿泊したアメリカ人母娘。だが忽如として母親が消失してしまう。

描かれた感染症

黒死病「…、あの恐るべき黒死病が発生した時の、私の驚きを。…」

原題:The Empty Room
底本は立風書房、1970年の『新青年傑作選 4 翻訳編』(伴大矩 訳)
編者の千街さんが解説でおっしゃっているように、「本作はこのアンソロジーに収録すること自体がネタばらしになりかねない」のですが、本作は1889年の万国博覧会が開催中のパリで起こった実話を小説化した一つの例とのこと。
もう一つの小説化の例は、ベイジル・トムスンの「フレイザー夫人の消失」(1925年)で、この作品は『北村薫のミステリー館』 (新潮文庫)で読めるようです。

黒死病については、エドガー・アラン・ポオの項の「ペスト」をご参照ください。

コオリン・マーキー(Corinne harris Markey)はアメリカの作家で、経歴不詳ですが1920〜30年代の執筆活動が確認されるようです。
本作は1932年に発表。

西村京太郎「南神威島」

無医島に赴任してきた青年医師を待ち受ける奇妙な風習。やがて島に伝染病が発生し……。

描かれた感染症

法定伝染病その法定伝染病の名前を口にするのは恐ろしかった。島に医者が私一人しかいないこと、碌(ろく)な薬がないこと、東京は勿論、神威本島からも遠く離れていること、そうしたいくつかの不利な条件が、私を恐怖に落とし込むからである。

底本は徳間文庫の『華やかな殺意 西村京太郎自選集1』
本作では「法定伝染病」の具体名は出てきませんが、法定伝染病とは旧・伝染病予防法に定められていた11種類の感染症を指していました。
すなわち、

コレラ、赤痢、腸チフス、パラチフス、発しんチフス、猩紅熱、ジフテリア、流行性脳脊髄膜炎、ペスト、日本脳炎、痘そう

過去形であるのは、1998年に伝染病予防法が廃止され、新たに感染症法が制定されたためです。
(現在では、法定伝染病といえば専ら家畜伝染病予防法に定められた家畜伝染病を指します。)

話を戻すと、本作で描かれた感染症はこの11種のどれかということになりますが、

参考

  • 吐気(はきけ)。
  • 下痢を起こし(水のような便)、39度近くの熱。
  • 胸に鮮やかに赤く丸い斑点が見られ、少し痒い。

など、本作に描かれる症状からその伝染病は絞り込めるかもしれません。
そして、この伝染病は(免疫抗体を含む)血清さえあれば何とかなるのですが……。
1969年発表の本作ですが、本作で描かれる人間の弱さは現在の我々にも、いや現在の我々にこそ心に来るものがあります。

西村京太郎さんといえばトラベル・ミステリーの大家ですが、解説にも挙げられていた『殺しの双曲線』はアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』に挑戦した著者初期の代表作です。

皆川博子「疫病船」

平凡な母娘間で起きた殺人未遂事件に影を落とす、とある復員船を見舞った悲劇とは?

描かれた感染症

コレラ「コレラ船?」「復員船でコレラが発生したとかで、大変な騒ぎだったんですわ。……」

底本は中公文庫の『鎖と罠 皆川博子傑作短篇集』
1976年発表の本作も、読んでいて心が痛む作品です。
昭和21年3月、内地では発しんチフスが流行し、食糧も欠乏、占領軍は暴行の限りをつくすという、凄(すさ)まじい混乱の中で、U港沖に到着した16隻の復員船ではコレラが蔓延していた……。
船内の人々の思い、内地側の人々の思いが容赦なく描かれる本作の内容は、解説によれば虚構のようですが、復員船でコレラが発生し、内地を目前にしながら足止めされた話は事実のようです。
そして、現代に生きる我々にとっては、「船」で起こったコロナ集団感染のことを思い浮かべずにはいられません。
本作も現代に通用するのです。

コレラについては、エドガー・アラン・ポオの項をご参照ください。

皆川博子さんは、お恥ずかしながら私はその作品をちゃんと読んだことがないのですが(短編は読んだことがあるかもしれない)、幻想小説、ミステリー、時代小説など幅広い領域で活躍されています。
解説には、代表作として『死の泉』『ゆめこ縮緬』が挙げられていましたが、その他にも多数の著作あり。

梓崎優「叫び」

疾病の蔓延する集落で発生した連続殺人。全滅必至の状況で、なぜわざわざ人を殺すのか。

描かれた感染症

エボラ出血熱(?)「——俺は専門医じゃないし、間違っているかもしれない」ドクターと呼ばれた金髪の男は、手袋を裏返しながら外すと、慎重に口を縛って、別のビニール袋に入れた。「ただ、高熱、頭痛、嘔吐(おうと)、そして出血——似ているんだ」

底本は創元推理文庫の『叫びと祈り』
舞台は南米アマゾンです。

エボラ出血熱

  • エボラウイルスによる感染症で、ウイルス性出血熱に分類される一疾患。
  • 必ずしも出血症状を呈するわけではないことから、国際的にエボラウイルス病(EVD)と呼称されている。
  • 致命率が高く、血液や体液との直接接触によりヒトからヒトへと感染する。発症前のEVD感染者は感染源となることはほとんどない。
  • 条件が整うと比較的大きな流行に発展し、1976年から2019年3月時点に至るまで、30回を超えるEVDのアウトブレイク(突発的発生)が報告されている。
  • エボラウイルスの自然宿主は、複数種のオオコウモリと考えられている。
  • 現時点で承認されたワクチンや治療薬はない。感染しないようにするためには、流行地域に行かない、野生動物に直接触れない、その肉を生で食さないことが重要。
  • 流行地では患者(感染者)の体液(排泄物を含む)や、患者が触れた可能性のある物品に触れないようにすることが重要。

エボラ出血熱は主にアフリカで発生することが多いですが、ウイルス性出血熱の中にはアレナウイルスによる南米出血熱も含まれており、本作で描かれた出血熱もその可能性があるかもしれません。

本格ミステリーの世界でしばしば扱われる謎——殺す必要のない人間を何故殺すのか——が、アマゾン奥地に住む先住民族の共同体の中でエボラ出血熱が発生しているという舞台設定を通して、描かれます。
梓崎優さんは、2008年に「砂漠を走る船の道」で第5回ミステリーズ!新人賞を受賞し、この短編を含む『叫びと祈り』(2010年)がデビュー作とのこと。

水生大海「二週間後の未来」

新型ウイルスの流行で頓挫した殺人計画。あなたはステイホーム中にプランを練り直す。

描かれた感染症

新型のウイルス感染症:年が明けたころから、噂は聞こえていた。怖がりつつもどこか、別の国のできごとに感じていたのかもしれない。そんな思いをあざ笑うように、正体のわからないウイルスが世の中を変えた。

底本は双葉社の2020年刊「小説推理9月号」
本作中で「コロナ」という言葉は使われていないものの、このアンソロジーの収録作の中で唯一、今回の新型コロナウイルスの流行を背景にした作品です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19;COはcorona、VIはvirus、Dはdisease、19は2019年を表す)は、発生してまだ日も浅く、まさに現在進行形であるためか、国立感染症研究所のホームページでも最新の関連情報ページはありますが、その疾患をまとめたページはまだないようです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)|国立感染症研究所

新型コロナウイルス感染症について厚生労働省

本作のあなた=環(たまき)は、社内恋愛の相手の基規(もとき)が取引先の社長令嬢と婚約したと知って、彼の毒殺を企てます。
ところが、世界的規模の新型ウイルスの流行により、会社がリモートワークを導入することになり、彼女の計画は流れてしまい、殺意も薄れていくような気がするのでした。
ところが。
……SNSでのやり取りやオンライン飲み会、手作りマスクなど、現代ならではのトピックを次々に取り入れつつ、二転三転する殺人計画、そして思わぬ展開……
タイトルの「二週間後の未来」の2週間というのも、今ならではのトピックですね。

水生大海さんは、2009年に『少女たちの羅針盤』(前年に第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の優秀作を受賞)でデビュー。
この作品は翌年に、成海璃子さん、忽那汐里さん、森田彩華さん、草刈麻有さん主演で映画化されました。
また、代表作の一つである「ランチ探偵」シリーズも、山本美月さん主演でテレビドラマ化されましたね。

終わりに:ミステリー作家たちはコロナ禍の時代とどう向き合ったのか

伝染る恐怖 感染ミステリー傑作選 (宝島社文庫)

伝染る恐怖 感染ミステリー傑作選 (宝島社文庫)

エドガー・アラン・ポオ, アーサー・コナン・ドイル, フリーマン, マーキー, 西村 京太郎, 皆川 博子, 梓崎 優, 水生 大海
990円(11/21 15:24時点)
Amazonの情報を掲載しています

このアンソロジーの千街さんの解説には、2020年の間に、新型コロナウイルス、あるいは感染症を扱うかたちで発表された国産ミステリーについての紹介があります。
そして、「病の流行自体はいずれ収束する」ものとしつつ、そこから明らかとなったことについては、「いつの時代にも訴えかける要素がある筈」とし、

ここで紹介したのは、作家たちがそれらをどう描いたかの記録である。

と結んでいます。

人為的な犯罪を描くミステリーと、人知の及ばない感染症。
ただ、そこからあらわになる人間模様は、意外とミステリーと親和性が高いことが、この感染ミステリー傑作選からも感じられました。
文庫本なのでお手軽に読める、このアンソロジー。
こんな今だからこそ、皆さんにもお薦めします。

この記事の参考文献・参考図書・参考サイト

国立感染症研究所

系統看護学講座 専門基礎8 社会保障制度と生活者の健康[2] 公衆衛生学 第9版第1刷(医学書院)

加藤茂孝, 「第 7 回『コレラ』― 激しい脱水症状」, モダンメディア62巻6号 2016

法定伝染病 - Wikipedia

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