これまでの記事で、私がシャーロック・ホームズに「はまる」きっかけとなった事柄をいくつか挙げましたが、私が中学生の時にたまたま見かけたテレビドラマ、これを挙げないわけにはいきません。
この記事ではそのテレビドラマを紹介するとともに、それに関連する新たな情報についても少し触れたいと思います。
中学生の時はラジカセを使って英語音声を録音したことも
そのテレビドラマとは、ジェレミー・ブレットがシャーロック・ホームズを演じた「シャーロック・ホームズの冒険」(グラナダTV版)です。
私が中学生の時、たまたまテレビでNHKをつけたら海外ドラマが放送中でした。
確か、最初に見た[ホームズ物語]の映像作品は『プライオリ・スクール』The Priory Schoolという冒険譚だったと思います。
それからは、毎週欠かさずドラマを楽しみ、シーズン放送が終わったら、次のシーズン放送がいつ始まるのか、ワクワクしながら新聞などでチェックしていたものでした。
当時はテレビ番組を録画する機械は何も持ってなく、また二カ国語放送に対応したテレビも持っていなかったので、例えば『バスカビル家の犬』The Hound of the Baskervillesという作品が放送されたときは、ラジカセでテレビの英語音声を録音して、放送終了後に聴いていたものでした。(当時のテレビはアナログ放送だったので、そういうことができました。)
もちろん、映像と一緒に聴いているわけではなかったし、また中学生当時の私の英語力の拙さもあって、内容を完全に理解しているとは言いがたいものはありましたが、それでも私は楽しんで聴いていたものです。
その後、「シャーロック・ホームズの冒険」はNHKで不定期に放送されることが増えていきましたが、全部見逃すことなく鑑賞できました。
また、私が高校生になるとビデオデッキが我が家に設置され、午後5時台にNHKで「シャーロック・ホームズの冒険」が再放送される機会もあったので、それらを録画することに夢中になりました。
さまざまなメディアで商品化された「シャーロック・ホームズの冒険」
この人気ドラマは、その後さまざまなメディアで商品化されました。
VHSビデオ
まず最初に私が購入したのは、以下のVHSビデオ。
シャーロック・ホームズ全集 全23巻[VHS](日本クラウン)
英語音声、日本語字幕スーパーのみですが、NHK放送時にはカットされた部分も収録されたオリジナル全長版だったので、見たくて仕方がありませんでした。
今でもこのビデオテープは保管しています。
DVD
その後、世の中にDVDが普及するようになって、最初に発売されたDVD-BOXがこちら。
シャーロック・ホームズの冒険 DVD-BOX 1/2 (ハピネット・ピクチャーズ)
2001年に発売されたこの2つのDVD-BOXには、オリジナル全長版とNHK放送版が収録されています。
先に少し触れましたが、オリジナル全長版は短編作品であれば50分強の作品ですが、NHK放送時には44分という放送時間に収めるためにカットが施されています。
オリジナル全長版は英語音声と日本語音声で見ることができますが、オリジナル全長版の日本語音声はNHK放送時の吹替のみを使用しているため、NHK放送時ではカットされて吹替がない部分については英語音声&字幕スーパーになるという仕様でした。
これで見ると、NHK放送版のカットがとても芸術的、職人的であったことが分かります。細かくカットを入れていても、話のつじつまは合っており驚嘆してしまいます。
その後、カットされた部分に追加吹替が施された「完全版」DVD-BOXも登場しました。
シャーロック・ホームズの冒険 完全版 DVD-BOX(ハピネット・ピクチャーズ)
これによりオリジナル全長版も日本語音声ですべて見ることができるようになりました。
ただし、追加吹替はNHK放送時の俳優さんと異なる場合が多いです。
特にシャーロック・ホームズを演じたジェレミー・ブレットの声は、NHK放送時は俳優の露口茂さんが吹き替えをされていましたが、追加吹替は諸角憲一さんです。
諸角さんの声も単独で聞く限りは十分ホームズ的で味わいがありますが、いかんせん露口さんの声と声質が異なるため、通して視聴すると違和感を感じるのは否めません。
追加吹替ではなく新たにオリジナルの吹き替えを、という動きもなくはなかったのですが、実現には至りませんでした。(後述)
したがって、今のところこの完全版DVD-BOXの吹替音声が「シャーロック・ホームズの冒険」(グラナダTV版)オリジナル全長版の唯一の日本語吹替音声であり、その後のBlu-ray BOXやテレビ放送でもその音声が用いられています。
また、NHK放送版の映像は以上のDVD-BOX、およびその廉価版のDVD-SETにのみ収録されています。(Blu-ray BOXには収録されていません。)
「シャーロック・ホームズの冒険」を収録したDVDには、他にも以下のようなものがあります。
シャーロック・ホームズの冒険 DVD BOOK 全23巻(宝島MOOK、DVD付)(宝島社)
こちらは英語音声と日本語/英語字幕スーパーのみですが、映像はデジタルリマスターされたものなので美しく(ただし画面の縦横比(アスペクト比)はすべて4:3)、日本語翻訳も新しくされた完全版です。
Blu-ray
そして、2012年には待望の完全版Blu-ray BOXが発売されました。
シャーロック・ホームズの冒険 全巻ブルーレイBOX(Happinet)
「シャーロック・ホームズの冒険」(グラナダTV版)全作品が制作国である英国にてハイビジョン化されました。(ただし、『三破風館』The Three Gables という作品はマスターフィルムが見つからなかったようで、アナログマスターからアップコンバートされています。)
10年間続いたシリーズなのでシーズンによって撮ったフィルム規格に違いがあるようで、それを気にかけながら視聴するのも一興、と付属ブックレットに記載がありました。
最後期の作品はアスペクト比が16:9です。
先に記したように、NHK放送版の映像は収録されていません。
音声は完全版DVD-BOXのそれと同じです。
このハイビジョン化された映像をもとに、NHK BSプレミアムでHDリマスター版の「シャーロック・ホームズの冒険」が放送されました。(Blu-ray BOXと違って、アスペクト比が4:3の作品は画面両横の色がクリーム色だったりします。)
また、AXNミステリーやシネフィルWOWOWで放送されたり、動画サービスで配信されたりしています。
NHK BSプレミアム/BS4Kで放送!
2021年8月11日より毎週水曜午後9時、NHK BSプレミアム/BS4Kで放送されています。
[ホームズ物語]の未映像化18作品がCDドラマ化?!
「シャーロック・ホームズの冒険」(グラナダTV版)では41本の映像が作られました。
[ホームズ物語]は全60編あるので、ちょうど7割が映像化されたことになります。
実は「シャーロック・ホームズの冒険」の1本、『マザランの宝石』The Mazarin Stone という映像作品は、原作の『マザリンの宝石』The Adventure of the Mazarin Stone と『三人ガリデブ』The Adventure of the Three Garridebs という2つの作品をひとつの物語にまとめて再構成されたものです。
したがって、原作の『三人ガリデブ』は未映像化作品とも言えるのですが(Blu-ray BOXのブックレットではそのようにカウントしています)、『マザランの宝石』の映像作品は『三人ガリデブ』の要素をかなり取り入れているので、[ホームズ物語]の未映像化作品は18作品と考えてよいでしょう。
さて。今年初めのTwitterのツイートで気になるものがありました。
「ミッドナイトクライシス製作委員会【公式】 @midnightcrisis9 」のツイートによれば、この映像化されていない18作品をCDドラマ化しようとするプロジェクトがスタートするようです。
【告知・1】
年末にお知らせしました企画1つ、予告編が1月中にアップ出来そうです。エクレシア編予告が2本、次回作予告が1本です。
さて、もう1つの告知はミッドナイト・チームで新たに古典作品に挑戦します。
皆様もご存知かもしれないその作品は…
【シャーロック・ホームズの冒険】‼️— ミッドナイトクライシス製作委員会【公式】 (@midnightcrisis9) 2019年1月8日
ツイートによれば、このミッドナイト・チームは過去に「シャーロック・ホームズの冒険」(グラナダTV版)の再吹替計画に携わっていたとのこと。
そのDVDは数年前、ブックレットとともにデアゴスティーニ・ジャパンからテスト販売されたものと推察されますが(私も購入しました)、残念ながら全国展開することなく5巻で休刊。。。
そういうこともあって、このCDドラマ化計画はスタートしたようで、[ホームズ物語]で最初に刊行された『緋色の研究』A Study in Scarlet の制作が決定し、ホームズ、ワトスン、マイクロフトの声優さんも決定しているそうです。
[ホームズ物語]に多々ある謎や矛盾も調整した"真説版"としたいとの野望もある、ということで、今後が楽しみです。
終わりに
この記事では、私をとりこにした海外ドラマ「シャーロック・ホームズの冒険」(グラナダTV版)を紹介し、それに関連する最新情報を付け加えました。