イラストと豆知識が楽しい『シャーロック・ホームズ語辞典』

2019年12月に、ちょっと変わった辞典が出版されました。
その名も『シャーロック・ホームズ語辞典』（誠文堂新光社）。
シャーロック・ホームズにまつわる言葉を気軽に調べられ、最初から最後まで通して読んでも楽しめる、この本をご紹介します。

その前に：「辞典」と「事典」

今回ご紹介する本は「辞典」とありますが、これは比較的珍しいのではないでしょうか。
一方で、シャーロック・ホームズに関する「事典」はいろいろ出版されています。
ここで、あらためて「辞典」と「事典」の違いについて整理すると、

つまり、「事典」（英語では"Encyclopedia"）は、事物や事柄の名称を集めて説明した書物をさすのに対し、「辞典」（英語では"Dictionary"）は、言葉を類別して集めて説明した書物をさします。
誠文堂新光社さんの「辞典シリーズ」は『○○語辞典』とあるように、言葉を解説した書物であることが分かります。

『シャーロック・ホームズ語辞典』を読んでみる

薄いながらも充実した内容

シャーロック・ホームズ語辞典: ホームズにまつわる言葉をイラストと豆知識でパイプ片手に読み解く 誠文堂新光社

まず、本を手に取って200ページ弱しかないことにビックリしました。
百科事典の類になると、それなりに分厚くなりそうですが、この本はソフトカバーなこともあって、気軽に手に取って読めそうです。

本の厚さが薄いからといって、内容も薄いわけではありません。
この本の本文は、著名なシャーロッキアンである北原尚彦さんが記されており、まさに古今東西のシャーロック・ホームズにまつわる語句が幅広く収載されています。
（辞典なので、見出し語は50音順に配列されています。）
特に最近の情報については豊富で、このブログでも先日取り上げたばかりの『シャーロック』(フジテレビ)や『歌舞伎町シャーロック』も取り上げられており、文学作家から現代日本の俳優まで、さまざまな項目が記載されています。

もちろん、関連の作品や人物ばかりでなく、「正典」（ホームズ物語の原作）やその登場人物についても説明されており、ネタバレはないので、ホームズ初心者の方にもお薦めです。

言葉の解説に花を添えるイラスト

この本の特長の一つに、えのころ工房さんの素敵なイラストが挙げられます。
丁寧に描かれた絵で見ると感覚的に分かりやすく、読んでいて飽きません。
力作の図解「221Bの居間」は必見です。
また、綴込み付録として、ヴィクトリア朝時代のロンドン案内マップと、ホームズたちが遭遇したすべての事件を時系列でたどる「すごろく」もあります。
すごろく用の駒のイラストもあるので、みんなが集まったときに楽しめそうです。

私の読み方

調べ物をするときに使うほか、なんとなく読みたくなったときに、目をつぶって好きなページを開いて、そのページを楽しんでいます。（「リラックマ生活」の読み方です。）
もちろん、普通に最初から最後まで読んでも十分楽しめます。

終わりに

この記事では、最近出版された話題の『シャーロック・ホームズ語辞典』を簡単に紹介しました。
『I AM SHERLOCK』から「ワトスンは女だった」まで、ホームズにまつわる言葉をパイプ片手に読み解きましょう。